緋色流 レビュー&考察

鑑賞したアニメや洋画のレビュー、考察などをするブログです。

考察「CLANNADは人生」とは "傑作"の特徴 名作品との繋がり

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ブログを閲覧してくれたフォロワーさんから指摘がありました。

まず、この記事ではAFTER STORYはCLANNADの続編という前提で話が進んでいます。それがイメージ出来ない人は、前編後編別れている小説やパート1パート2に別れている作品を思い浮かべて読んでください。

 

CLANNADは人生」、もはや名言でしかない。某2ちゃんねるのレスが元ネタだが、今や多くのヲタにとって馴染みの言葉になっている。

 

なぜ「CLANNADは人生」と言われるのか??以前ABのテーマを考察する記事で指摘したが、正確には"半生"を描いていて、人生の最初から最後までがあるわけじゃない。

 

CLANNADをプレイ/視聴した人の多くは、"AFTER STORYからが本番だ"と言う。

"AFTER STORY"とは、言わば"続編"であり、CLANNADが"1"だとしたら"その後"を描いているAFTER STORYはCLANNAD"2"みたいなものだ。

普通に考えてみればこれはおかしい。1作目より2作目の方が優秀なのか??と思うだろう。だが、AFTER STORYは本当に優秀で紛れもなく"傑作"である。

 

「人気作の続編はヒットしない」という"ジンクス"がある。これは別に、ゲームやアニメに限った話じゃない。物語というのはなんでもそう。基本的に最初の作品が、一番優れていて続編から徐々に"右肩下がり"になるのが一般的だ。

 

ターミネーター2」と「ダークナイト」という作品をご存知だろうか?

もしかするとアニヲタにはあまり馴染みがないかもしれない。

ターミネーター2」は、1作目から10年後を舞台した作品。殺人ロボットが未来からやって逃げ回るというのが主なストーリーだが、ロードムービーになっていて"親子愛"について描いている。

ダークナイト」は、人気アメリカンコミック"バットマンの実写化"作品。宿敵ジョーカーとの戦いを非常に暗いテイストで描いている。こちらもシリーズの2作目で、1作目に「バットマン ビギンズ」がある。

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実はこの「ターミネーターシリーズ」と「ダークナイトシリーズ」には、「CLANNAD」と大きく共通している部分があるのだ。

 

"1作目が特別優れているというわけじゃない"

 

ターミネーター1」は、ただの"B級SFアクション"で"人間ドラマ"描写はほとんどない。

バットマン ビギンズ」だって、「ダークナイト」がなければ"変わったアメコミ映画"という認識止まりだっただろう。

CLANNAD」もそうだ。「AFTER STORY」がなかったら"key最高傑作"とは言われてないはず。

この3作品に共通しているのは、2作目の方が圧倒的に優れている点だ。驚くべきは2作目の方が俄然高いクオリティを誇っていること。

もちろん、1作目がよかったから2作目も作られたのだが・・・

 

他にもCLANNADと類似している名作を挙げていこう。

 

ゴッドファーザーPARTⅡ」と「スター・ウォーズ エピソードⅤ 帝国の逆襲」、この2作品も「CLANNAD」と類似性が見られる。

ゴッドファーザーシリーズ」とは、イタリアマフィアのファミリーの話で、3世代に渡って世代交代するのが特徴。「PARTⅡ」では、ファミリーの2代目ボスになった主人公の"その後=AFTER STOR"が描かれている。

スター・ウォーズ エピソードⅤ 帝国の逆襲」とは、前作から3年後を舞台にしている。基本的な雰囲気は1作目と変わっていないが、"父親の存在"が"主人公の運命"を大きく左右する展開になっている。

「AFTER STORY」と「ゴッドファーザーPARTⅡ」と「帝国の逆襲」は、"父親と息子"という関係がフューチャーされている。またこの2シリーズにはCLANNADと同じく、3世代が登場する。「ゴッドファーザーシリーズ」は父親と息子(主人公)と甥。

スター・ウォーズシリーズ」も父親と息子と甥。

知っての通り「CLANNAD」も、岡崎直幸(父親)と主人公である岡崎朋也(息子)と岡崎汐(孫娘)の3世代が登場している。岡崎史乃(朋也から見て祖母)が登場するが、彼女の物語は描かれていないため、世代にカウントしない。

それだけじゃない。CLANNADには様々な"家族"が登場し、"世代"が変わっている。古河秋生(父/義理の父)と古河渚岡崎朋也の関係も"親子"だ。

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かつて朋也と渚たちと青春時代を送っていた、藤林杏というヒロインがいる。彼女は成長し、保育士になるという夢を叶えている。その保育園に朋也と渚の娘である"汐"が通園しているのだ。縁はどこで切れるか分からない。

「AFTER STORY」にはそういった"縁"を感じる場面が多数ある。前作からの展開を無駄にはせず、きちんと続編に繋げている。こういうところも「AFTER STORY」が傑作である一つの理由だろう。

また「CLANNAD」が、どのような作品を意識して作られたのかは不明だが、「ターミネーター2」「ダークナイト」「ゴッドファーザーPARTⅡ」「スター・ウォーズ エピソードⅤ 帝国の逆襲」などの映画史に残る名作と共通している部分も多い。偶然なのかわからないが、優れた作品には、優れた共通点が多いのも当たり前だろう。"人気作の続編はヒットしない"というジンクスを打ち破ったのも、名作たちと同じだ。「CLANNAD」という作品そのものが、"奇跡"みたいな存在でもある。

因みに比較した4シリーズは、「CLANNAD」及び「CLANNAD AFTER STORY」同様に登場人物たちの"半生"を描いている。

 

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いろんな"家族"がいて、それはたくさんの世代を超えて成り立っている。「CLANNAD」は、そういう人間たちの"家族"、"半生"、"青春"、"恋愛"を描いている。"家族の人生"とも言えるのかもしれない。様々なことがあるからこそ"人生"なのだ。

まさにこれが「CLANNADは人生」と言われる所以なんじゃないだろうか。

 

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