緋色流 レビュー&考察

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Key作品考察 Charlotteの"その後" 乙坂と友利の試練はまだ始まったばかりだった

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⚠︎ この記事ではCharlotteのネタバレを含んでいます。

 

今回の記事では、タイトルの通り「Charlotteの"その後"、乙坂と友利はどうなるのか」を考察していきたいと思う。

 

Charlotteの最終回は、非常に"希望的な終わり"を迎えている。

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"希望的な結末"を描いているのには、理由がある。麻枝准が初めて脚本を書いたオリジナルアニメ「Angel Beats!」の反省を活かしたからだ。ABの最終回は、「どっちつかずの結末だった」「バッドエンドじゃねえか」等の批判が少なくなかった。これらの批判を受けただーまえは、意図的に、Charlotteを"わかりやすくハッピーエンド"にしたんだろう。

問題なのは、"その後"。言わば"Charlotte After Sotry"にて、乙坂と友利は希望に満ち溢れた幸せな人生を歩めたのか??

 

Charlotteの最終回を見て、「智代アフター」を連想させている人も少なからずいた。Charlotte智代アフターかどうかは一旦置いとくとしても、管理人が思うに"乙坂と友利"の試練は、最終回後から始まるだろう。

 

まず、乙坂有宇について。彼に関して言えば未確定要素があまりにも多い。一つずつ説明していこう。

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①"乙坂が回収した能力はどうなったのか"という点。

乙坂は、全ての能力の回収に成功している。勘違いしそうだが、彼は"能力を治した"わけではなく、自分に"感染させた"だけだ。回収した能力がどうなったのかは、明かされていない。乙坂自身が記憶を失ったため、周りの人間も能力について知ることが出来ないのだ。

これは、大変危険な状態でもある。もし歩未のように、能力が暴走したら大変どころじゃ済まないだろう。さらに言えば、乙坂は世界中の(元)能力者を含めた様々な人間を敵に回してる。賞金首にもなっていた。襲われた拍子に能力が暴発するかもしれない。また、能力を把握していない今の乙坂の状態を知れば、誰が襲いに来たって不思議じゃない。世界のためとは言え、あれだけ派手に暴れたのだ。乙坂が狙われるのは当然のことだ。能力を失っていたとしても、乙坂の狙われる確率が下がるわけじゃない。むしろ、狙われやすくなるだけだ。

 

②"本当に乙坂は記憶を失ったのか"という点。

 

言っちゃあれだが、完全に記憶は消えたのか?そもそも乙坂は、タイムリープ以前の記憶を、ZHIENDのライブで思い出している。つまり、記憶なんてきっかけさえあれば、呼び覚ますことが出来る。

PTSDという病気をご存知だろうか。死を意識するような体験によって、心理的なトラウマが発生してしまう病だ。主な症状は、フラッシュバック、睡眠障害、無力感、警戒心など。この病は、兵士に多く見られる。乙坂も「歩未の死」「テロリストとの戦い」「能力回収の旅での錯乱状態」などの断片的な記憶が、フラッシュバックする可能性があるんじゃないだろうか。思うに、トラウマである経験は、必ず乙坂の中にあるだろう。能力の代償で記憶を失っているのに、トラウマごと消し去ってしまうなんて、乙坂にとって都合の良いことではないか。①に繋がってくるが、それらの障害でパニックに陥った乙坂が、能力を暴走させるリスクもある。

 

③"乙坂の代償は、記憶だけなのか"という点。

 

②で指摘したが、トラウマを含めた全ての記憶を失うのが代償なんだろうか?乙坂隼翼やサラ・シェーンは、視力を失っている。乙坂の"略奪"という能力が、脳をパンクさせたのは理解出来る。だが、乙坂の場合、他の能力を乱用している。尺の都合上それほど描かれてなかったが、素早く能力を回収するために、奪った能力を活用していたのは間違いない。あの旅で、どの能力をどれだけ使ったのかはわからない。だが、それ相応の対価が必要になるはずだ。様々な障害を持ち合わせた乙坂が賞金首になっているなんて、彼の人生の苦痛は今から始まったと言っても過言じゃないだろう。

 

そんな乙坂と恋人になる約束をした友利。

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彼女の人生も、大変なのはこれからである。母性の強い友利は、献身的に乙坂を支え続けるだろう。逆に、それが友利にとって試練になる。①②③で説明してきたが、乙坂のいる状況は絶望的だ。しかも、どんな障害があるのか不明。彼を支えるというのは、友利もとんでもないリスクを背負っているということ。確かに、智代アフターを連想するのは無理もない。キャラクターたちがダブるからだ。

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言うまでもなく、友利は智代だ。同じシルバーの髪を持ち、生徒会に所属している。なおかつ孤独で強く優しい女性だ。

乙坂と朋也も記憶障害という共通点がある。

 

ひょっとするとCharlotteの"その後"は、我々が考えている以上に重く暗い人生で、乙坂と友利の苦悩はこれから始まるのかもしれない。"永遠の幸せ"なんて絶対にあり得ない。だーまえの描く世界は、「人生は、幸せなこともあるが苦しく辛いこともある」が共通している。それが人生というもの、乙坂と友利のその後は、辛く苦しいことが続くかもしれない、それでも必死に生きるのだ。

 

一見すると"希望的な結末"だが、彼らの人生はまだ始まったばかり。2人は運命に立ち向かい続けるだろう。願わくば、ビデオログには皆の笑顔だけが収められ続けてほしい。

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